Anma
Kariyushi 58
初夏の晴れた昼下がり
私は生まれたと聞きました
母親の喜びは
大変だったと聞きました
ただ真っすぐ信じる道を
歩んでほしいと願い込めて
悩み抜いた末に
この名を
私につけたと聞きました
我が家はあの頃から
やはり裕福の方ではなく
友達のおもちゃや自転車を
羨ましがってばかり
少し困ったような顔で
ごめんねと繰り返す母の
隣で
いつまでも いつまでも
泣いたのを覚えてます
あんまよ
あなたは私の
すべてを許し
すべてを信じ
すべてを包み込んで
押し身もせずに
何もかもを
私の上に進み続けてきたのに
あんまよ
私はそれでも
気づかずに
思いのままに
過ごしてきたのでした
強さの意味をはき違えて
喧嘩や悪さばかりを繰り返し
だって日ままに遊び廻る
本当にろくでもない私が
真夜中の静けさの中
背伸び足で家に帰った時も
背まし食卓の上には
茶碗が並べていました
自分の弱さに目を背け
言い訳やごたくを並べ
何もせずにただ毎日を
だらだらと過ごし続け
浴びるほどに恩田私が
明け方眠りに落ちる頃
まだ薄暗い朝の街へ
母は出て行くのでした
あんまよ
私はあなたに
言ってはいけない
決して口にしてはいけない言葉を
加減もせずに
投げつけては
あなたの心を踏み込んだのに
あんまよ
あなたはそれでも
変わることなく
私を愛してくれました
こうむれひのような温もりで
いかい海のような優しさで
全部
全部
私のすべてを飲み込んだ
あなたの背中に寄り添いながら
眺めた
今日も
変わらず
明るい色に街を染める
Yeah
とがすぎるほどの感光さも
わがままも卑怯な嘘もすべて
すべてを包むような
愛がそこにはありました
あなたの元に生まれ落ちたことは
こんなに幸せだった
今頃ようやく気づきました
こんな馬鹿な私だから
春先の穏やかな朝に
新しい命が生まれました
あなたのようによく笑う
宝石みたいな女の子
優しさの中に美しさを夢見た人
になるようにと願い
あなたの一番好きな
花の名前をつけました