Hikari

言葉など一言も出てこなかった
思いにもならないものが体を走って
ポケットにはけなかしの無なしさがあって
僕らはどこへも行けずにいる

どんなコードも不適切くないと思った
メロディでは辿り着けないと思った
TVでは遠く街並みが映って
僕らはどこへも行けずにいる

君の小さな指も
彼には光のようだったろう
共にあった日を忘れずに
彼は生きていくのだろう

スーパーマーケットの売り場をぼんやりと見渡して
何もかも都会の僕らには足りなかった
行列には並ぶ気にさえならなくて
僕らはどこへも行けずにいる

悲しみを打ち消すメカニズムはなくて
優しさを持ち寄るしか僕らはなくて
TVでは遠く街並みが映って
僕らはどこへも行けずにいる

彼と繋がった手も
彼女には光のようだったろう
共にあった日を忘れずに
彼女は生きていくのだろう

小さな指も
彼には光のようだったろう
共にあった日を忘れずに
君は生きていくのだろう

せめて僕は覚えていよう
東京の街で途方に暮れた日々を
せめて僕は覚えていよう
圧倒的なこの無力を
花びら
春の風
木陰の居眠り
海辺の街並み
君を想って祈る

小さな指も
僕には光のようだったよ
共にあった日を抱きしめて
離さないで

繋がった手も
僕には光のようだったよ
共にあった日を積み上げて
僕らは生きていくんだよ